人との新たな「間(ま)」を築きたい、建築家・長野聖二(9)

エントワークリンケージ

2008年02月06日 04:52





第九回目のゲストは、第四回目の黒田恵子さん、前回の渡辺真希子さんが店舗を構え、所属する「河原町文化開発研究所」の代表であり、「人間建築探検處」の代表である建築家・長野聖二さんです。長野さんは、大分県杵築市山香町生まれの36歳。熊本大学の建築学科卒業後、2001年に独立され、2004年の12月にこの河原町にオフィスを構えられました。

まず、頂いた名刺が一風変わったものでした。表裏が透けていて、どちらからも読めるようになっています。ここに長野さんのポリシーを感じた私は、この名刺について聞いてみました。すると、「表も裏もない人間関係、ヒトとモノ、コトの関係を築きたいということでしょうか」と応えてくれました。このポリシーを現すかのように長野さんのオフィスはご覧のようにガラス張りでした。





また、「人間建築探検處」という屋号も一風変わっています。「建築は機能、価値観、地域、環境等の様々な要素を複合して出来るものです。建築を通じて人間と社会、環境、コト、モノとの従来にない新しい関係を築きたいと考えています」(同社HP)という長野さんの思い。人間と建築の関係、「間」を探検(サーベイ)しながら、泥臭く考える「處」(ところ)という思いが込められています。

この町にオフィスを構えるに至ったのは、平成14年度事業としてインキュベータのモデル事業として始まった旧免許センターにあるインキュベーション施設への入居からでした。この施設での入居が半年と決まっていたことから、入居早々次の場所を検討しなければいけなかった長野さんは、当時すでに動きつつあった河原町のプロジェクトを知り、施設の仲間とこの場所を訪れ、ここの佇まいが気に入ったということです。

河原町文化開発研究所の立ち上げは、先行して進んでいた広告代理店を経営する方によるプロデュースを受ける形で行われ、代表の役回りを引き受けることになったそうです。この界隈を毎月第二土曜日に行われる「アートの日」を通じ、若き芸術家たちの街にして、彼らの芸術を楽しみにやってくる人々を増やすこと。それがこの研究所の目標の一つであり、代表の大変な役割。

今回も強引にインタヴューさせていただいた感じですが、お話をうかがって意外なご縁があることがわかりました。まず、奥様が私の出身高校の後輩にあたること、そして、私が今塾生となっている「くまもと まち育て塾」の塾長である愛知産業大学大学院教授の延藤安弘さんの熊大時代の教え子が長野さんでした。

長野さんは、コーポラティブハウス、コレクティブハウスといった集合住宅、高齢者や障害者などが介護スタッフとともに地域の中で自立的な共同生活をするグループホームといった社会的弱者のための環境づくりにも力を入れられていますが、熊本市で1992年に竣工したコーポラティブハウス・Mポートに関わられたのが延藤教授でした。

ヒトと住宅の関係は、気候、太陽、風、近隣住民、モノ、コトとの「間」が重要なファクターだと語る長野さん。そんな長野さんへのアクセスは下記。これからマイホームを考えているという方は、一度相談してみてはいかがでしょうか?





「人間建築探検處」
熊本県熊本市河原町2
TEL&FAX;096-354-1007
E-mail;fieldworks@zcmain.jp
http://fieldworks.main.jp

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