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私、五十路手前の後藤愼一が、熊本で頑張る社長さんやオーナーさんを訪問し、創業の苦労話、これからの夢などあれやこれや聞いて、レポートします。
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2008年02月24日

新たな温泉ブランドを目指す、若き起業家・福田厚氏(12)

12回目のゲストは、第一回目の守屋尚さん、第三回目の松岡雄一さん、第六回目の田上菜穂美さんと同じ創業塾の塾生だった福田厚氏(36)さん。熊本県北部に位置し、2006年3月1日、菊水町と三加和町が対等合併した和水(なごみ)町で今年、福田さんは家族湯「湯亭 上弦の月」を開業予定です。翌日が地鎮祭というまさに一番忙しいときに時間をもらって話をうかがいました。

新たな温泉ブランドを目指す、若き起業家・福田厚氏(12)


12年間東京でアパレル業界のMD(マーチャンダイザー)を勤めていた福田さんは、ご長男に続き二人目のお子様になるご長女の誕生を機に熊本に帰ることを決意され、昨年3月にUターン。和水町でお父様が経営されている不動産事業、更に町から嘱託されて支配人(H20年1月末で退職)を務められていた第三セクターを発展させた、民活と地域興しの両立という発想で「家族湯」事業を発案されました。創業塾の第一回目が昨年8/25でしたが、すでにそのときに青写真が出来ていました。

福田さんと私は創業塾では別グループだったので、福田さんが家族湯を事業にされようとしていることを知ったのは、塾終了後の懇親会でお会いしたときでした。そのときには事業計画書もほぼできあがり、金融機関との融資交渉が進んでいました。私の単純な興味は、福田さんがサラリーマンから転進していきなり事業計画書を書き上げ、金融機関との折衝まで漕ぎ着けているという俊敏さでした。Uターンした時は家族湯をするとは思っていなかった福田さんの事業の発案は昨年の7月だったといいます。

福田さんが戻ってみると、お父様は第三セクターの支配人としての仕事が忙しく、ご自分の会社はほったらかし状態に近く、福田さんが実質的に引継ぐことになりました。「縫製工場は業績不振で6年前に廃業。自社工場跡地を利用し不動産賃貸業に事業転換。現在は家賃収入で前事業の債務整理中。このままでいくと完済まで約20年掛かるため、新たな事業の柱が必要でした。会社の内容を整理しながら不動産事業とは別の収入源としてソフトバンクモバイル・Yahoo! BBの取扱店としての活動を拡大している最中でした」。

新たな温泉ブランドを目指す、若き起業家・福田厚氏(12)


一方で、お父様を手伝うために第三セクターにたびたび出入りし、「ボランティアでイベントの手伝いなどしていると色々と企画のアイデアや事業プランなどが浮かんできたんですが三セクの性質上、実現がなかなか難しいんですね」。だったら自分の手で事業を起こそうというのが福田さんの気概。(写真は「三加和温泉ふるさと交流センター」)

お父様が縫製工場の経営者であったことから、ゆくゆくは自分が継ぐことになるだろうということで福田さんが就職されたのが前述のアパレルメーカーでしたが、このMDという仕事で彼が積んだキャリアがこの起業アクションの俊敏さを生んだのでした。「事業計画書は9月の時点ではラフ案でした。出来たものを順次銀行に見せながら、最終的な計画書は12月に提出。1月に1回目の融資が実行されました」と淡々と語られます。普通はここが一番難しいところですが、福田さんは一気に駆け抜けます。

「私がいたのは百貨店向けブランドも手がける中堅企業でしたが、そこではブランドが一つの会社と同じなんです。MDは、企画、原材料(素材)選び、デザイン、製造、物流、販売とエンドユーザーまでの流れにすべて関わっていました。この経験は貴重だったと思います」と福田さん。

家族湯の着想までの経緯をもう少し詳しくうかがうと、MDだった当時から福田さんにはぼんやりとではありながら、お客様とゆっくり対話できるような、サロン的な、くつろげる空間を造りたいという思いがありました。そこに、「家族湯」自体がもともとは近隣の山鹿市発祥であり、今では全国区になっている「平山温泉」が注目されていました。にも関わらず、和水町では民営二軒、町営二軒の四軒の温泉施設しかなく、温泉地として認知されない現状を何とか変えたいという着想になっていきます。

「あるとき、セミナーか本だったか忘れましたが、地域振興をする人は『若者、よそ者、ばか者』でなければならないということを聞いたんです。それが自分と重なると思ったんです」と福田さんは語ります。「ばか者」とはもちろん、「常識を超えられる者」という意味だと思いますが、おもしろい言葉だったので、ネットで検索してみると、ほぼ日刊イトイ新聞のリオ吉さんの次のような記事がありました。

「第2回 若者よそ者ばか者」(http://www.1101.com/amsterdam/2003-10-17.html
前回、「アムステルダムほど自由なところはない」と、17世紀にデカルトさんが述べた(らしい)と書いたところで終わりましたが、どうしてそんな自由な雰囲気があったのかというと、やはりよそ者が入ってきて作り上げた街だからといえると思います。移民ですね、移民。しがらみがなく、ゼロから始める、移民。

もともとオランダのあるあたりは、海なのか陸なのかわからないような低地の湖沼地帯で、雨は多いし陽は照らないと、決して暮らしやすい土地とは呼べなかったところを、(プロテスタントと呼んでいいのでしょうか)新興階級とそれをささえる労働者が干拓で埋め立てて出来たところなんですね。新しいことは「若者で、よそ者で、ばか者」がやるといったのは邱(永漢)先生だったでしょうか、アムステルダムは、よそ者ばかりで作ったようなところなんです。


また、ある政治家のブログには次のような記述がありました。

「軽井沢をブランドの避暑地として掘り起こしたのは米国の伝道師、北海道のニセコをブランドスキー場にしたのはオーストラリア人です。私が美作で親しくしていただいている支援者の何人かは、一度美作を離れたことのある方々です。情報量が異なると、同じものをみる視点が異なるというのが、よそ者なのかなあ、とも思います。米国に8年間いたので、日本で気づいたこともあります。諸外国をまわったからこそ、わかることもあります」。

「若者、よそ者、ばか者」、福田さんは36歳、この町出身ですが12年間東京で暮らした「よそ者」。「『ばか者』」役(前述の意味で)は地元では多少影響力のある父に任せておけばいい」、というのが福田さんのこの事業に立ち向かうエネルギーです。そして、この「家族湯」というハードを、最高の「もてなし」というソフトで提供したいというのが福田さんの真骨頂です。福田さんは、地に足のついたホスピタリティを追求したいと語られました。

新たな温泉ブランドを目指す、若き起業家・福田厚氏(12)


「国道443号の和水町内を走行すると道の南側に温泉街が見える。町内には、三加和温泉ふるさと交流センターとふれあいの森あばかん家の二つの施設がある。町営ではないが、ふるさと交流センター前のコンビニの中に天然温泉の家族風呂があり地元のテレビなどで紹介された。最近は、付近に家族風呂を備えた温泉がオープンしたり、隣の山鹿市の平山温泉などとともに注目されている」。

これは、「三加和温泉」に関する現在のウィキペディアの記事です。福田さんはきっとこの記事を書き換えたいはずです。この地に、本物のホスピタリティ空間を造る。その手段が当面は「家族湯「湯亭 上弦の月」。「三加和温泉」のこの最後の文章にはっきりと「全国でも有名になった」と前置きがされることを。

地鎮祭を終えればいよいよボーリングが始まります。福田さんは、温泉を掘り起こす期限を5月いっぱいと踏んでいます。12~14部屋の貸しきり温泉施設をできれば10月、遅くとも12月までのオープンさせることを目指しています。これからまさに時間との闘いだと思った私は、「これから胃の痛い日が続きますね」と打診すると、「いや、私は鈍感だから大丈夫だと思います」と応えられました。さすがです。

このブログでは、その後の進捗などをフォローできればと考えています。

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